災害に備える

建物の備え

メンテナンス費用の備え

すまいが災害で全壊したり破損したとき、再建するにも修繕するにも費用がかかります。 国や自治体が認定した災害のときは、公的支援金が支給されますが、その金額は住宅の再建や修繕にかかる費用の1/3程度です。2/3以上の費用は、自己資金でまかなうか、融資を利用することになりますが、住宅ローンが残っていればいわゆるダブルローンという苦しい状態になってしまいます。 そんな事態を避けるためには、やはり日頃の備えが大切です。例えば一戸建ての場合、毎月一定の額をすまいの修繕用に積み立ててはどうでしょう。災害に合わなくても、すまいは新築後10~20年で外壁塗装など大掛かりな補修が必要になります。毎月1万円でも積み立てておけば、1年で12万円、10年で120万円。災害時に十分とはいえませんが、あるとないとでは大違いです。

もうひとつ、災害時に頼りになるのが火災保険です。火災保険は自然災害には使えない、と思っていませんか。火災保険商品の多くは、特約などで風災(台風、竜巻など)、水災も補償されます。また、多くの損害保険会社や共済組合では地震保険も用意されています。地震保険は火災保険とのセットでないと加入できませんが、その大きな特徴は極めて「公共性が高い」ということです。地震による損害額は非常に大きいので、保険会社などだけで運営することはできず、「再保険」として政府に保険をかけることで、保険金の支払いを確実なものとしています。そのため、地震保険については、どの保険会社でも保険料や保証額は同じです。 火災保険は高い、というイメージがあるかもしれませんが、それは、かつては保険期間自体が最長36年と長かったためと思われます。2015年以降、保険期間は最長10年になり、短期では1年から契約できます。もちろん長期間になるほど保険料は割安になりますが、1年契約なら一度の出費が少なくてすみ、補償内容の見直しもしやすいというメリットがあります。 これから火災保険に加入する方は、災害特約と地震保険もあわせて検討しましょう。また、すでに加入している方も、特約の見直しや地震保険の追加ができないかなど、契約内容を確認しましょう。

被災したときの公的支援

国や自治体がその被害が甚大で公的な支援が必要と判断した災害の場合、住宅の再建や修繕に対して支援金が支給されます。しかし、その対象となるのは、全壊、半壊、一部損壊、床上浸水の被害が認定され、罹災証明の発行を受けたときだけです。
例えば2018年の7月豪雨の被害に対して神戸市から支給された生活再建支援金は、全壊の場合で上限300万円、一部損壊・床上浸水で上限25万円(それぞれ基礎支援金と加算額の合計)、2018年台風20、21号の被害に対しては、全壊の場合で上限180万円、一部損壊・床上浸水で上限23万円でした。床下浸水や住むことはできる程度の一部破損の場合、公的支援は得られません。災害にあったとき、迅速に確実に修繕をするためには、各個人が、預貯金や保険、共済などで備えておくことが非常に大切です。

前へ
次へ
TOPへ戻る